特別支援学校教諭の免許を取得しようと、佛教大学の免許法認定認定通信教育の講座を受講しました。
必要単位は、以下の通りです。(佛大の資料を引用)
5つの講座に関して書籍を読んで、レポート書いて、試験を受ければ単位が取得できる流れです。
正直、本を読むだけですので力の向上は自分次第になってしまいますが、忙しい小学校教諭が免許を取得することを考えると仕方がないような気もします。
個人的には、自分のペースで学べるのでありがたかったです。
今回は、障害教育総論に関するレポート&試験対策をまとめました。
レポート課題(障害教育総論)
レポート課題、および提出したレポートは以下の通りです。
【レポート課題】
- かつての「特殊教育」についてはどのような「現状認識」があったのか、そのような「現状認識」からどのような「基本的方向性」が示されたのか。そして「特別支援教育」とはどのように「定義」されているのか、について具体的に述べよ。
- 特別支援学校小学部・中学部・高等部の「自立活動」について、その「教育目標」や「教育課程編成の一般方針」及び「内容」を具体的に説明せよ。
当然、自力で解くなんてできませんし、参考図書も指定されていますので、その本に準じたものをまとめました。この本が結構、高価です。メルカリやアマゾンにも中古はなぜかほとんどありません…
留意点も記載されていて、その流れに沿ってレポートをまとめていきます。
【留意点】
- 「現状認識」や「基本的方向性」、「定義」のキーワードに基づいて記述するとともに、そうした障害児教育の流れについて自身の考えも反映させること。
- 「自立活動」は特別支援教育固有のカリキュラムである。自立活動について書かれた部分のうち、対応する個所をよく学習して記述するとよい。
という点に注意してまとめました。
以下、提出したレポートです。参考にしていただければ幸いです。
日本における「特殊教育」から「特別支援教育」への変遷について2点にまとめる。また、「自立活動」における「教育目標」について、現在勤務する小学校の事例を踏まえて報告する。
【日本における「特殊教育」から「特別支援教育」への変遷】
- 「特殊教育」における「現状認識」及び、「基本的方向性」
かつての日本には、盲・聾・養護学校、特殊学級に在籍する児童のための教育機関があった。しかしながら、そのような児童たちは教育から排除されたり、経済的に就学が難しい場合の奨励などが不十分であったりした。また、特殊教育では、障害のある児童生徒に対して、その障害の種類と程度に応じて、きめ細かい教育を行い「その欠陥を補うために、必要な知識技能」を与えることを目的にしていた。
そのような中で、2001年に「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が開かれ、特殊教育の枠組みについて話された。具体的には「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(2003)をまとめると、「特殊教育の現状認識」が以下のように示されている。
「特殊教育の現状認識」
- 特殊教育を必要とする児童生徒数の増加
- 障害の重度化・重複化における障害種の多様化・複雑化
- LD、ADHD等の通常学級における児童生徒への対応
- 専門知識を有する教員の不足、および関連部局間及び機関間の連携の必要性
- 児童生徒の自立や社会参加を支援するという考え方への転換。
上記のような「現状認識」をもとに、以下のように「基本的方向性」が示された。
『障害の程度等に応じ、特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図る。』
このようなに支援対象の変化や支援の現状を踏まえ、特殊教育から特別支援教育へと支援体制を変化させていった。
- 「特別支援教育」の定義
「特殊教育」から「特別支援教育」へ変わったのは、単に名称だけが変わったということではない。障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」に対し、「特別支援教育」は障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行うことを意味する。また、対象となる児童は、知的な遅れのないADHAや学習障害、アスペルガーといった、これまで通常学級にいた「発達障害」の児童生徒を含めたより広い範囲を対象にするようになった。
【自立活動における「教育目標」や「教育課程編成の一般方針」について】
「自立活動」の「教育目標」は、学習指導要領において「個々の児童又は生徒が自立※1を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う※2。」とされている。
障害のある児童生徒は、その障害によって、日常生活・学習場面において、様々なつまずきや困難が生じる。よって、通常学級の児童生徒と同様に、心身の発達の段階などを考慮して教育するだけでは十分とは言えない。この為、各教科の他に、「自立活動」の領域を設定し、その指導を行うことによって、児童生徒の人間として調和のとれた育成を目指している。
現在の勤務校では、障害だけではなく、年齢や性別、家庭環境などの様々なニーズを踏まえ、インクルーシブ教育の実現に向けて努力していくことが大切している。児童生徒の多様性を尊重し、精神的にも、身体的にも最大限まで発達できるよう教育課程を編成している。
これまでも述べてきたように、重要なのはそれぞれの子どもたちが「授業に参加している」という実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごせることという点だと考える。教師が心がけることは、子どもの困り感を解消し、それぞれのニーズに対する支援をしていくことである。安心感のある、みんなが参加できる学校づくりを目指してこれからも実践を重ねていきたい。
試験の内容(障害教育総論)
オンラインで自宅で受験できたのが本当にありがたかったです。
それでは、課題と自分なりの答えを紹介します。
(試験問題)
視覚障害の定義や原因、発達特性等について述べ、
「生活の困り」の観点からその教育的関わりのあり方について具体的に論じよ。
(自分なりの答え)
視覚障害に関して、1.定義、原因、2.発達特性、3.教育的関わりのあり方の3点について論ずる。
1.定義・原因
①定義
視覚障害とは、病気や事故などが原因で起こる「見えない」または、「見えにくい」状態を指す。学校教育において何らかの配慮が必要かどうかを考える際には盲学校の就学基準を参考とすることがある。なお、今回論じる「視力」とは、メガネやコンタクトレンズを使用した矯正視力を指す。学校教育法施行令第22条の3には以下のように視覚障害について表記されている。
「両目の資料がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の資格による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの」
②視覚障害の分類
学習方法の違いに着目して、主に触覚や聴覚などの視覚以外の感覚を活用し、点字を使って学習・生活する児童生徒を盲、主に視覚を活用して通常の文字を使って学習・生活する児童生徒を弱視のように分類される。
③視覚障害の原因
盲学校の実態調査によると主な疾患は多い順に、未熟児網膜症、網膜色素変性症、小眼球・虹彩欠損、視神経萎縮、緑内障となっている。視覚器のどの部分に障害を受けたかという視点で見ると、眼球の網膜の疾患が最も多い。
2.発達特性
①盲児童生徒の言語能力
言語能力に関して清眼の子供と比べ未発達なことがあり、単語の意味が制限されたり、誤って活用することがたびたびある。視覚情報が不足した中で、多くの言葉を実体験と結びつけることなく機能的に覚えていくことが原因だと考えられる。
②弱視児童生徒にとって見えにくいもの
弱視児の見え方は人それぞれであるが、以下のような困り感を示すことが多く、その特性に合わせて教材の提示や環境正義を行う必要性がある。
・細かい部分が見えない
・大きなものの全体把握が困難
・立体感に欠ける
・動いている物が見えない
・遠くになる物が見えない
・知覚の速度が遅い
・目と手の協応動作が難しい
3.教育的関わりのあり方
①盲児童生徒の指導
視覚情報が不足した中で多くの言葉を体験的な裏づけがない状態で習得していかなくてはならないことが多い。この状況を防ぐために直接的な「経験」を児童生徒に対して支援していく必要がある。具体物に直接触らせることであったり、日常生活に必要な動作や技術を手とり足とり指導することを積み重ね、適切な概念やイメージの形成を促し「地に足のついた言葉」を育てていくことが大切である。
また、触察の指導が重要である。盲児は、指・手・腕などの筋肉の動き、手首・肘などの関節の動きといった「触運動」によって得られる総合的な感覚を手がかりとして、形や質感、大きさなど様々な情報を得ている。しかし、触覚は万能ではなく、指先で触れたわずかな情報を次々と取り入れ頭の中でつなぎ合わせて情報の全体像を理解しなければならない。そのため指導場面では、じっくりと触る時間を確保したり、効率的に触れるような環境整備をしたりして、「記憶」や「整理整頓」を習慣づけることが求められる。具体的には、以下のような点に留意することで触察の力を支援することができる。
(触察のポイント)
・両手で触る
・すみずみまでまんべんなく触る
・基準点を設けて触る
・触圧をコントロールして触る
・繰り返し触りながら全体像を構築する
・温度や重さを意識して触る
・触って感じたことを言葉で表現する
そして、日本では小学校1年生ごろから点字の指導も行う。点字とは、6つの点を組み合わせからなる表音文字である。日本語や英数字のほか、化学式や楽譜などの様々な文字や記号を表現でき、学習に必要な思考の助けとなる大切な道具となる。
②弱視児童生徒の指導
弱視児の実態に合わせ、先述した困り感を軽減するための、教材の提示や環境整備が大切となる。例えば、視覚補助具を活用し、児童生徒の学習環境を整えていくことがある。手元のものをみるルーペや、遠くのものを見る単眼鏡などがある。また、拡大読書器を活用し、文字や図などをカメラでとらえ、拡大率や照度、コントラストを調節してモニターに拡大表示することなどがあげられる。
照明環境も大事であり、明るい照明が必要な児童に対しては窓側に座らせたり、机上に個別の照明器具や書見台を設置する。逆に明るいい場所が苦手な児童に対しては、壁や机を反射の少ない塗料で塗装したり、遮光カーテンを利用するなどの工夫が必要である。
これまで述べてきたこと以外にも、拡大教材の利用や見やすく使いやすい学用品の選定、色使いやコントラストを工夫したシンプルな教材提供、視覚以外の感覚の補助的な活用、目の疲労への配慮が大事である。
③自律活動の指導
視覚障害をもつ児童に対して①、②以外にも歩行指導やコンピュータの指導がある。歩行指導については、自分と周囲の環境との関係性を理解する力と、様々な手がかりを活用しながら白杖を使って安全に目的地へ移動する力の両方を育てることが大切である。また、コンピュータの指導については、盲の人は画面音声化ソフトを活用し文字入力や確認を行う。弱視の人は、拡大機能や画面表示拡大ソフトを活用する。効率よくパソコンを操作して、情報を処理するスキルを身に着けることで生活の困り感をすこしでも軽減できるように支援していく必要がある。
という内容を専用の画面で直接入力していきました。
講義の結果(障害教育総論)
無事に認定いただきました。
特別支援教育を学ぶ方々のお役に立てれば何よりです。
それでは、資格取得に向けてファイトです。
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