「中心に積もる、鉄の雪…」
同僚から貸していただいた1冊…
自分で選ばない分野と出会えるのでこれまたよかったです。3連休中にこんなに自分の好きな分野で心の不安定を軽くしてくれる1冊と出会えるなて、私は幸せ者です。
短編集で、まだ全部読み切っていないですが、タイトルの『八月の銀の雪』は今年読んだ本の中では1位といっても過言ではないです。それでは、概要と個人的な解釈をご紹介。
1.伊予原 新 略歴
神戸大学から東京大学の大学院で地球科学を専攻されて、なんと博士課程も修了した異色の経歴…(地球科学ラバーとしては、この略歴だけでわくわくしてしまいます。)作中でもたくさんの専門知識が出てくるのですが、わかりやすい言葉に変換されながらも誰もが楽しめる内容に工夫されているので、伊予原さんの知識の深さを感じます。
全然、ニュースを見ないので知らなかったのですが、伊予原さん、最近とっても注目されているようです。
2021年の直木賞候補作に選出されたり、同年の本屋大賞ノミネート作品となったり…ノリノリですね。
「小説=文系」というイメージが強いですが、科学大好き・理科教師の私からすると科学者の視点から描かれる作風に心を鷲掴みにされてしまいました。
2.『八月の銀の雪』 あらすじ
『八月の銀の雪』は、就職活動に苦戦する主人公が、科学者との対話を通して希望を見いだすストーリーです。5つの短編のうち3つは読んだのですが、全てに共通しているのは「科学によって悩みを軽減する」という流れとなります。主人公たちの内面の変化が自分と重なり、心にしみこんでいきます。少し難しい自然科学の内容も含まれていますが、主人公と共に少しずつ理解できる構成になっているのでとても読みやすいです。
『八月の銀の雪』の中で、主人公は自分の軸を見つけられずに苦しんでいます。私も、日々、仕事と家族と健康と…何を重視していけばよいのか迷ってしまう状況です。就活している学生と立場は違えど、なかなか成果が出ない現状から逃げたくなる気持ちも出てきます。
しかし、作中に出てくる地震学を専攻する研究生(博士1年目)との出会いを通して、自分の核となるものを見つめなおすというストーリーです。ここで、地球の核と自分の心を対比させて表現されている点が絶妙でとても印象に残っています。
「地球の中心に積もる鉄の雪」
地球の核に鉄の雪が降ることは全く知りませんでした。しかし、人それぞれ、心の中に積もるものは日々違えど、何かが積もっていることはわかります。それは、知識なのか、家族の愛なのか…様々なものが当てはまるだけに共感される方は多いと思います。
3.心に刺さるメッセージ
私自身は、毎日、朝活して生活改善を心見ていますが、これが本当に正しいのか不安になっているのも事実です。
そんな中、作中に研究について語られる部分があります。
「研究も人の真似からスタートします。うまくいくところ、いかないところがあります。そして、もっとうまくやりたくなるところが出てきます。そこを工夫して、ちょっと前進します。」
最初は、誰だって真似からスタートするという、当たり前のことですが、忘れていたことを思い出させてくれました。
日々、子供たちにも「真似していいんだよ~」と声をかけてきました。しかし、自分ではなかなかできていないと改めて感じました。
地球の中心に積もる鉄の雪のように、自分の核の中にも「家族、成長、健康」について読書や交流を通して、経験や思い出を積もらせていきたいものです。
昨日、娘が生まれました。そんなタイミングでこの本と出合えたのも何かの縁だと思います。
自分の中の芯を見つめて、豊かに生きていいきたいと思える朝になりました。
皆様にとっても、今日が充実した日となりますようにm(_ _)m
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