【52ヘルツのくじらたち】声なき声をわたしは聴けるだろうか…

仕事

「魂の番となる」自分ならどうするだろうかと思わず考えてしまうフレーズです。

改めて、教師の仕事の意義を感じる1冊と出会えました。司書の先生から『52ヘルツのくじらたち』(著:町田そのこ)を紹介されたのですが、自分の生き方を改めて見直す1冊です。相変わらず、町田そのこさんの作品からは元気をもらえるので大好きです。

「52ヘルツ」「クジラ」?どんな話だろうと?と気楽な考えで読み出しました。1ページ目から風俗嬢のうわさ話みたいな感じが始まり、面白おかしいストーリーかな…と思っていたら…
とてつもなくヘビーでした。『コンビニ兄弟』とは打って変わって、表紙の濃い紺色通り深いお話の世界が展開されていきます。

題名の「52ヘルツのクジラ」とは、世界で一番孤独だと言われているクジラのことらしいです。
他のクジラと声の周波数が違って、ほかの大勢の仲間にはその声は届かないらしく…
世界で一頭だけといわれ、存在は確認されている。
しかし、姿を見た人はいないと言われているクジラのことです。

そして、タイトルのクジラと同様な立場の人たちにスポットを当てて小説はつづられていきます。

声を上げているけれど、聴き取ってくれる人がいない、社会的に孤立している人たちを描いています。

社会的に孤立する登場人物

・虐待を受けてきた主人公

・虐待を受けている少年

・家庭DV

・トランスジェンダー など…

「自分ならどうするだろうか」と登場人物との出会いを想像しながら読みました。

これまで、自分が声を聴けていなかっただけかもしれないですが、同じ教室内で虐待を受けている児童と出会っていたかもしれません。また、これから出会う可能性だって十分にあります。また、トランスジェンダーの問題だって、あまり気にしてこなかったですが、お話を通して深く考えるきっかけとなりました。

お話の中には軽率な教師の行動で虐待がさらに酷くなってしまう場面が描かれています。もし、虐待を発見したら…管理職に相談する。児童相談上に相談する。その他、今の自分にできることは何があるだろうか…

虐待は絶対に許される行動ではないです。しかし、自分の立場でどこまでその児童の声を聴きとれるかは、教師の立ち位置によって大きく変わっていきます。

私自身は、できるだけ様々な周波数の声を聴ける教師になりたいです。その為にも、心理の勉強も進めながら成長していくことが大切だと日曜日の朝に感じました。

世の中、様々な仕事があります。どんな仕事、どんな人でも声なき声を聴く場面が出てくると思います。そんなときに、立ち止まって声を聴ける社会になっていければと思います。

最後に「プロだな~。」と感動したことを紹介します。

本の扉絵を、ぼーっと見ていたら…「耳の形だ!」と気づき…

更に…「5」・「2」とえがかれていました。こんなところに隠れているなんて…

声なき声を拾える教師を目指しながら、今日も成長していきます。

皆様にとっても、今日が充実した日となりますようにm(_ _)m

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