特別支援学校教諭の免許を取得しようと、佛教大学の免許法認定認定通信教育の講座を受講しました。
必要単位は、以下の通りです。(佛大の資料を引用)
5つの講座に関して書籍を読んで、レポート書いて、試験を受ければ単位が取得できる流れです。
正直、本を読むだけですので力の向上は自分次第になってしまいますが、忙しい小学校教諭が免許を取得することを考えると仕方がないような気もします。
個人的には、自分のペースで学べるのでありがたかったです。
今回は、重複発達障害教育総論に関するレポート&試験対策をまとめました。
レポート課題(重複・発達障害教育総論)
レポート課題、および提出したレポートは以下の通りです。この科目は、レポートが2種類提出しなければならず、他の科目よりも少し大変です。
【レポート課題】
- 脳性疾患に起因する重度の知的障害と重度の肢体不自由がある「重複障害児」を想定して、自立活動の具体的な指導について述べなさい。
- 注意欠陥多動性障害の定義を述べ、注意欠陥多動性障害の症状を伴う児童にかかわる際の考慮点について論述せよ。
当然、自力で解くなんてできませんし、参考図書も指定されていますので、その本に準じたものをまとめました。この本が結構、高価です。メルカリやアマゾンにも中古はなぜかほとんどありません…
留意点も記載されていて、その流れに沿ってレポートをまとめていきます。
【留意点】
(課題1に関して)
・設題の主旨をとらえて、重要事項について理解を深めておくこと。特に、設題にある重複障害の中で大きな割合を占める脳性麻痺の運動・知覚・行動特性のことや特別支援学校特有の指導領域「自立活動」の目的や内容については重要なことである。
・具体的な指導の内容は、自立活動のどの区分や項目から選定し、組み立てられたものかを明記する必要がある。
・1600字程度(本文:1500字以上2000字以内)で必ず作成すること(所定の字数以外のものは添削対象外とする)。 ・引用・参考文献は必ずテキストの使用のみであっても必ず記載すること(記載がない場合は添削対象外とする)。
(課題2に関して)
テキストをよく読むとともに、できるだけ最新の参考文献・資料・情報にもあたり、広い理解を得た上でリポートを作成するよう留意すること。
テキストの写し書きに終えることなく、リポートをまとめあげての自分自身の考えも述べること。
設題の意味を理解し学習すべき内容がもれなく整理されているか、また、設題の意図を把握し、学習した内容が論旨の展開に反映されているかが重要なことである。本文中の引用箇所、そして、その引用文献は必ず記載すること。
という点に注意してまとめました。
以下、提出したレポートです。参考にしていただければ幸いです。
(課題1)
脳性疾患に起因する重度の知的障害と重度の肢体不自由がある重複障害児は、日常生活や学習場面において様々な困難さが見られる。例えば、健康保持の為の呼吸、摂食、嚥下、学習に必要な姿勢保持と上肢の操作、コミュニケーションの為の発声や発語などが考えられる。
特別支援学校教育要領・学習指導要領解説(自立活動編)では、重複障害児に関する教育課程の取り扱いでは、「重複障害者については、一人一人の障害の状態が極めて多様であり、発達の諸側面にも不均衡が大きいことから、心身の調和的発達の基礎を培うことをねらいとした指導が特に必要となる。」と示されている。このことから、学校生活の様々な場面において、重複障害児の状態に応じた発達を促すことが必要であると考えられる。
また、「特別支援学校の教育課程において特別に設けられた指導領域であり、授業時間を特設して行う自立活動の時間における指導を中心とし、各教科と密接な関連を図って行わなければならない。」としている。自立活動の内容は以下の6つの区分からなる。
(自立活動の項目)
①健康の保持:体温調節・食事・睡眠・生活習慣の形成
②心理的な安定:情緒の安定・状況の変化・対応・意欲
③人間関係の形成:他社との関わりの基礎、意図や感情の理解
④環境の把握:保有する感覚の活用、記憶、思考、判断
⑤身体の動き:姿勢と運動・動作の基本技能
⑥コミュニケーション:コミュニケーションの基礎能力、言語の受容
以上の、自立活動を通して、人間として基本的な行動を遂行する為に、必要な要素を分類・整理したもので「障害による学習上又は生活上の困難さを主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養う指導のことである。」としている。
設題にある重複障害の中で大きな割合を占める脳性麻痺の運動・知覚・行動特性のことを考えると、自立活動及び学校生活全般を通して、発達を促すために必要な基本的な指導内容を、個々の実態に応じて設定し、系統的な指導が展開できるように、支援をしていかなくてはならない。
課題としては、健常児に比べ身体運動の経験が乏しく限定されていることがあげられる。このことが、人間の成長に必要な健康や感覚・知覚の能力、さらには自己の動きや表現、概念形成、社会性などの発達の大きな問題となっている。また、学校卒業後はこれから生活介護事業所での生活において想定される。
これらのことを検討すると、重複障害児に対して②心理的な安定、③人間関係の形成、④環境の把握、⑤身体の動き⑥コミュニケ―ションを指導していくことが重要になる。
そして、その中でも身体の動きが大事であると考える。卒業後、身に付けておくべき力としては、制作活動やレクリエーションでの活動に興味を持ち参加する力や、誰が介助しても食べる事ができたり、少しでも自食できたりする力や、車椅子へ乗り降りする場面で、介助に協力して、身体を動かす力などが想定される。
重複障害児をキャリア教育の視点から捉えた場合、『暮らす力』や『楽しむ力』といった『生きる力』をまず育むことが大切であると考える。事業所利用に限らず在宅での生活においても、「生きる力」の育成は重要である。したがって、できるだけ早い段階から将来、「よりよく生きる」ための手立てとして、「身体の動き」の高まりを支援して、学習を積み上げていく事が必要である。
これまで述べてきたことを踏まえ、指導をおこなう上で子供たち1人ひとりの実態を把握し、「授業に参加している、ついていけている」という実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごせることという点が重要だと考える。教師が心がけることは、子どもの困り感を解消し、それぞれのニーズに対する支援をしていくことである。安心感のある、授業づくりを実践していきたい。
(参考文献)
障碍のある子どものための教育と保育3 エピソードで学ぶ 障碍の重い子どもの理解と支援 菅原伸康・渡邊照美 編著 ミネルヴァ書房
障碍のある子どものための教育と保育1 エピソードでみる障碍の理解と支援 菅原伸康 著 ミネルヴァ書房
特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・中学部) 文部科学省編 開隆堂出版
特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 各教科編(小学部・中学部) 文部科学省編 開隆堂出版
特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編(幼稚部・小学部・中学部) 文部科学省編 開隆堂出版
障碍のある子どものための教育と保育2 写真でみる障碍のある子どものための課題学習と教材教具 菅原伸康 著 ミネルヴァ書房
(課題2)
注意欠陥多動性障害とは、身の回りの特定のものに意識を集中させる脳の働きである注意力に様々な問題があり、又は衝動的で落ち着きのない行動により、生活上、様々な困難に直結している状態をいう。特徴的な症状としては、年齢に見合わない「不注意さ」、好きなこと以外に対する集中力がなくほとんど関心や興味を示さない「多動性」、思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまう「衝動性」が見られる。
しかしながら、教師として現場で指導をしていると、どの児童にも上記のような特徴は当てはまるようにも感じる。忘れ物をする児童もいれば、カッとなって友達とけんかをする児童も存在する。ここで大切なことは判断基準だと考える。アメリカ精神医学会の「DSM-5」の診断基準では、「症状が少なくとも6か月以上持続してみられ、それらの程度は不適応的であり、発達の水準に相応しないもの」とされている。つまり、発達段階に合わせて、どの程度、不注意があるのか比較検討する必要がある。
また、現在、指導する学級にも注意欠陥多動性障害をもつ児童は在籍する。具体的には以下のような不注意がみられることがある。
①不注意な間違い:問題を読み間違えるケアレスミス
②集中の困難:苦手な科目では、手遊びや外を見たりすることが目立つ
③話を聞いていない様子:生返事や話を聞いていない様子を示す
④やり遂げられないことがある:途中で投げ出してしまうことが多い
⑤課題の順序立てが難しい:好きなことをやってしまい、宿題ができない
⑥頑張ることを避ける:宿題、そうじ、当番などいやなことができない
⑦ものをよくなくしてしまう:鉛筆・消しゴムなど学習に必要なものをなくすことが多い
このように、注意欠陥多動性障害をもつ児童は、場に応じてコントロールすることが苦手な状態のため、様々な症状やミスや不注意などの症状が他の人と比べて目立ちやすい。そのため、学校や家庭での日常生活に支障をきたすことがある。また、80%の割合で学習障害を重複しているといわれている。したがって、行動面だけを指導するのではなく、読み書き計算などの認知発達面も遅れていく可能性があるため学習面での支援も重要である。
これらの背景を踏まえ、症状を伴う児童に関わる際には本人の認知発達に合わせた支援をしながらの指導が必要となる。以下、日々実践している内容を振り返り、自分の考えを述べる。
認知発達に合わせた指導であるが、児童への指導となると幼児のときと同じ指導をしていてはいけない。幼児のときには同じことをしても怒られなかったのに、学齢期では怒られることも増えてくる。周囲の大人も問題な行動を周囲の児童と比較して怒るようになる。ただ、叱るだけでは逆効果となってしまう。
「○○してはいけません。」と否定形で言われるほど、その行動をイメージして、かえってその行動を繰り返してしまう。自分で新しい行動をイメージできないことが多いので、能動態で表現したり、絵や写真、動画などで真似したりできるようなモデルを示すことが大切である。
例えば、忘れ物が多い児童の場合は、忘れ物をしたことを叱るだけでなく、割れ物をせずに必要なものを持っていく指導が必要となる。指示をするだけでなく、持ち物のチェックリストを作ったり、持ち物の保管場所をわかりやすくしたりするなどの環境設定を教師は行う必要がある。
このように具体的に何をしたらいいのかを伝えたり、その目標を達成うることが容易になるような場面設定を行ったりと、児童自身の適切な行動を増やしていことが重要となる。指導をおこなう上では、障害の大小はあれど、児童1人ひとりの実態を把握し、「授業に参加している、ついていけている」という実感・達成感がもてる授業づくり、教室づくりが一番大切だと考える。教師が心がけることは、児童によりそい、児童にあった適切な方法で困り感を解消し、それぞれのニーズに対する支援をしていくことである。今回の講義を通して、安心感のある、授業づくり・教室づくりを実践していきたい。
以下のような感じでフィードバックもいただいています。これから受講される方は以下の点に注意していただいた方がよいですね。私も、現状にに満足せずに、試験に向けて勉強していくことが大切ですね。
(課題1フィードバック)
(課題2フィードバック)
同じ大学でも、科目によって見ていただける熱量も異なりますね。
自分の為の勉強ですし、精進あるのみですね。
試験の内容(重複・発達障害教育総論)
オンラインで自宅で受験できたのが本当にありがたかったです。
それでは、課題と自分なりの答えを紹介します。
(試験問題)
肢体不自由と知的障害を有する重複障害児を想定して、指導目標を一つ以上設定し、その目標達成のための指導内容及び指導上の留意点について具体的に述べよ。
(自分なりの解答)
肢体不自由児と知的障害がある重複障害児は、日常生活や学習場面において様々な困難さが見られると想定される。例えば、健康保持の為の呼吸、摂食、学習に必要な姿勢保持と上肢の操作、コミュニケーションの為の発声や発語などがある。
重複障害児に関する教育課程の取り扱いでは、指導要領において「重複障害者については、一人一人の障害の状態が極めて多様であり、発達の諸側面にも不均衡が大きいことから、心身の調和的発達の基礎を培うことを狙いとした指導が特に必要となる。」と示されている。このことからも、学校生活の様々な場面において、重複障害児の状態に応じた発達を促すことが必要である。肢体不自由と知的障害がある重複障害児では、以下3つの目標を設定し、留意点に注意しながら指導を行っていくことが大事だと考える。
①健康状態の保持と増進
健康状態が悪いと学習の機会が少なくなるため、体力の向上を目指した課題の設定が必要となる。乾布摩擦や冷水摩擦、空気浴・日光浴・水浴等の自然の諸要素を用いた方法が効果的となる。また、摂食機能の問題で必要な栄養量を確保することが困難な場合があるので、食事形態を工夫したり、摂食機能の向上を図ったりすることも重要な課題となる。
また、無理のない日課で、食事時間や睡眠時間を固定して習慣化を図り、生活リズムを整えることも大切である。その際には、光や音の環境刺激をコントロールしたり、定めた時刻に食事を促したりすることが有効である。加えて、重度の肢体不自由がある場合は、変形や拘縮、褥瘡等の二次的障害や疾病を生じやすいので体位転換や異常な筋緊張の抑制を図ることに留意しなければならない。
日常的に継続していくことで効果が上がることなので、保護者と協働して取り組むことが特に大切である。しかし、負担がかかりすぎると体調を崩してしまうので、指導に当たっては学校医や主治医から助言を得ることも欠かせない。
②コミュニケーション能力の向上
対象児の認知能力や運動能力に即して、話し言葉以外の「身振りサイン」「写真や絵などを活用したシンボルカード」「トーキングエイド」「現物」等を用いて、これらの事物・事象との対応を図ることが大切である。形・色・大きさ・重さ・長さ・厚さ・温かさなどの弁別学習は高次のコミュニケーション手段の獲得と密接な関係があるので、その習得状況を的確に把握していく必要もある。
コミュニケーション障害は、送り手だけに問題があるのではなく、受け手にも問題があるとされる。どのようなときにどのような表情の変化や仕草があるか、またどのような行動をとるかなどを、つぶさに観察し把握しておくことが効果的な方法につながる。
③自発的な行動と人間関係の促進
自発的な行動を促進させるためには、安定した対人関係の中で探索活動が発現・拡大していくことに留意する必要がある。拠点となる安心できる人が存在することによって、未知のものへの探索活動が誘発されやすくなる。関わり手は、対象児と共感関係を深める中で、安心できる人が存在となる信頼の絆づくりを目指す必要がある。過干渉せずに、見守る姿勢で関わり、探索活動を支援していくことが大事である。また、障害の実態によっては、眼鏡や補聴器、体を支える装具、電動車いすなどの補装具の活用も効果的である。
これまでも述べてきたように、対象児の複雑多岐にわたる障害特性によって教育ニーズも多様となる。その為、指導目標や留意点についても一括りにして述べることは難しい。しかしながら、今日では、多様な教育課程や医療ケアの制度が用意されている。指導に当たって、個々の重複障害児に対してどのような教育課程を用いて指導を行うか、医療ケア的制度のどの内容を活用するかを適切に選定することが指導を行う上で重要なこととなる。
という内容を専用の画面で直接入力していきました。
講義の結果(重複・発達障害教育総論)
なんやかんやで、無事に認定いただきました。
また、後日、リライト予定です。
皆さんの資格取得のお力になれればと応援しています。
コメント
放送大学の印刷教材(この科目の場合は、特別支援教育総論)など、考えられるテキストなどで補足するといいかもしれませんね。
一般的に、教育系の書籍は中古市場やネットフリマ市場には出回りにくいので。